アメイジング・グレイス

 奴隷船の船長だった男が回心して神を讃える歌、アメイジング・グレイス。でもその船長が主人公ではなく、奴隷船禁止法を作ろうと努力する一人の政治家ウィリアム・ウィルバーフォースのお話です。時はフランス革命前夜。アメリカもそろそろイギリスの手に余るようになってきた頃です。奴隷船のオーナーやそれに買収された貴族たちが多くを占める議会で、たった一人で奴隷船の廃止を訴え賛同者を増やしていきます。しかしフランス革命の成功により、英仏の緊張が高まると国家の利益が優先され、ウィルバーは売国奴呼ばわりされてしまいます。いつの時代も利権や愛国心人間性をねじ曲げていくようなことは行われてきたのだなと思わせられます。