老人と海

 第七芸術劇場に「老人と海」を観に行きました。ナナゲイは月曜日がメンズデーで1000円なのです。
 与那国島の漁師町をひたすら映す、ドキュメンタリー映画です。何かを訴えるために作られた映画ではなく、淡々と事実を映した、ドキュメンタリーの原点のような映画だと思います。小さな舟に乗った老人が毎朝漁へ出かけていきます。周りの漁船は老人の舟よりも大きく、クルーザーのようです。カジキマグロが最も大きな獲物のようで、時々大きなカジキがかかります。でも老人はカジキを釣ることができません。何も釣れない日もあります。老人の妻が心配しながら待っています。そうした老夫婦の淡々とした日々を映すとともに、漁師町の生活が自然な感じで映されていきます。祭の映像がなかなか迫力があります。男たちが漕ぐ舟(ペーロンみたいな大勢で漕ぐ舟)が競う様は、働く者の肉体美が輝いています。
 最後には老人がカジキを釣り上げ、家で祝いの席を設けて終わるのですが、その時の老人の顔がいいです。きちんと生きている人の顔です。かっこいいなあと思いました。他にも海の美しさや老人の丁寧な物の管理(釣り具の手入れの様子が詳しく映されている)、手わざと表現したくなる、テグスさばき。舟に塩を振って浄めている敬虔な姿勢、一つ一つが何十年もかけて完成した一つの型のような美があります。とても静かでとてもいい映画でした。
 本当はこの後に「ザ・コーブ」を観ようと思っていたのですが、疲れたので帰りました。同じ海の物語でも、最悪のドキュメンタリー映画と評判ですが……。