大阪天満宮

 國學院大學夏季講座に行って来ました。
柳田國男折口信夫國學院大學名誉教授 岡野弘彦先生
「和紙の歴史」奈良国立博物館館長 湯山賢一先生
の二本立ての講義でした。
 岡野氏は折口晩年の弟子で、最後の7年間を共に過ごされたそうで、面白いエピソードも紹介しながら思い出話をする感じでした。その中で、折口同性愛説に反駁されていて、折口特有の深い、天才的な人間関係について語っていました。そういう古代ギリシャみたいな友愛関係があるのかもしれないと思いました。また、柳田と折口の関係は単純に晩年の柳田は折口に批判的だったとしか頭に入っていませんでしたが、岡野氏の解釈はその辺の関係を分かりやすく説明していました。つまり、柳田は民俗学という学問を日本に根づかせるため、一般の研究者に分かるように、実証主義的、平易な言葉遣いをあえて使っていた、しかし折口はそういう配慮はまったくなく、その天才のままにものを考え、直感によって古代をそのまま感知するような研究を行った。そのため、理解できない人には全然理解できないような説明になってしまい、それを柳田は批判したのであって、基本的に柳田の研究を継ぐ者は折口と考えていたようです。実際には14歳年下の折口に先立たれ、柳田の悲しみは非常なものだったそうです。
 南方熊楠にも少し触れておられ、天才のレベルでいうと南方が一番だと言っていたのは、岡野氏は公平な人だなと思いました。そして柳田民俗学が早くに体系立ったのに対し、折口民俗学は未だに体系が立って居らず、若い研究者が今、まさにそれを作りつつある、そして南方に至っては体系化はまだ全然手つかずで、それは南方の天才があまりにも一般人に分かりにくいので、まだ理解が届いていないのだと、その難解が柳田を南方から遠ざけた理由だというのも納得しました。
 和紙の歴史では、蔡倫から話を説き起こし、紙漉の技術や、紙の原料の話を詳しくお話しされていました。なかなかマニアックな世界ですが、とても楽しそうでした。こういう一つ一つの研究が古代を解き明かしていくのでしょう。