小説家の目

夏から夏へ (集英社文庫)

夏から夏へ (集英社文庫)

 大阪世界陸上の400Mリレーを中心に、朝原、末續、高平、塚原を追ったドキュメンタリー。『一瞬の風になれ』でもそうですが、丁寧な取材と、わかりやすく、鋭い描写が大いに生かされています。専門的な本ではないし、筆者も陸上の専門家ではないのですが、選手の心理などは本人以上に詳しく書かれているんじゃないか?と思うくらいです。こういうのは小説家でないと書けません。400Mリレーの補欠で入っていた、走れなかった男、小島の話は感動します。ちゃんと生きることを考えさせてくれます。