仕事。

仕事。

仕事。

 川村元気(『電車男』『告白』『悪人』『モテキ』『おおかみこどもの雨と雪』『寄生獣』などの映画を製作。『世界から猫が消えたなら』を発表して小説家としても活躍)が第一線で活躍するクリエイティブな人たちにインタビューしたという本。山田洋次沢木耕太郎杉本博司倉本聰秋元康宮崎駿糸井重里篠山紀信谷川俊太郎鈴木敏夫横尾忠則坂本龍一川村元気の質問に答えて自分が35歳の時に何をしていたかを語る。川村が35歳だからだ。コンセプトとしては、立花隆が東大の立花ゼミの学生と一緒に作った『二十歳のころ』に似ている。あれは結構大部の本で、新潮文庫上下巻だ。これから社会に出て行く学生がインタビューしているので、社会のことに関するお話もあるけれども、戦中戦後の話も結構多くて資料的な価値も高い本だった。
 川村元気の『仕事。』はもうある程度仕事をしてきて、さてどうするかというこれから中年にさしかかる川村が、同じクリエイターとして敬意を払っている人物達にインタビューしているのでもっと主観的で、それだけに面白い。それぞれが個性の強い人たちなので、読者が自分の生きることに直結して考えられるかは疑問だが、やはりいくつか心に響くフレーズもある。そしてそれぞれ華々しく活躍している部分しか見えないけれど、人一倍努力しているし、手を抜かずに生きているよなと思う。
 川村元気が一番ためになったんだろうと思う。読者はそれぞれ自分の仕事と重ねてそれぞれに得るところもあるだろう。