2014-06-20 浮気人類進化論 読書 浮気人類進化論―きびしい社会といいかげんな社会 (文春文庫)作者: 竹内久美子出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 1998/11メディア: 文庫 クリック: 7回この商品を含むブログ (10件) を見る 動物行動学の見地より、人類が言語を獲得した理由を考えています。浮気が人類を進化させたという仮説です。ほ乳類において多くの場合、群れのリーダーが代わった時に「子殺し」が発生してしまう。オスからすると自分の子ではないことが明らかだということと、授乳期間中メスは発情しないので、子を宿すことができないからです。子が死ねば再び発情する。新リーダーはメスに自分の子を孕ませることができます。筆者は様々な動物を観察して、子殺しを回避するための「乱婚」や、子を孕んでも発情できる種に着目しています。人類の発情がいつでも可能であるのは、子殺しを回避するためではないかと筆者は考えています。また、浮気行動が様々な動物や鳥類で観察され、多様な子孫を残していることにも注目し、言語の発生は浮気行動にあるのではないかと仮説を立てています。従来言語は戦争などによる情報交換のために発達したと考えられてきましたが、戦争は主に男がするのに、女のほうがおしゃべりなのはなぜかという疑問に答えられませんでした。浮気進化論においては、女性は女性同士で情報交換(井戸端会議)をすることで、情報収集し、夫に不審な行動がないか絶えず気を配り、夫は浮気が明らかにならないように言いつくろう術を身につける中で、高度な言語能力を獲得したのではないかとしています。一見荒唐無稽に思われますが、本書を読めば学術的な裏付けのある魅力的な説であることがわかるでしょう。