恋しくて

恋しくて - TEN SELECTED LOVE STORIES

　村上春樹による恋愛小説の翻訳文集です。村上春樹によれば、恋愛の初心者から上級者までいろいろなレベルの恋愛を選んだとあります。確かにかなり上級と思われる恋愛も含まれています。青少年が主人公のものから、年の離れた不倫カップルの話、同性愛などなどさまざまな恋愛の様子が描かれています。１０編の文集ですが、最後は村上春樹自身が短編小説を書いています。「恋するザムザ」。題名を見ただけで興味がそそられますが、もちろんあのグレゴール・ザムザです。内容は書いてしまうと面白くないので、ぜひお読み下さい。
　村上春樹は翻訳の時の方がリラックスしている感じがする。文体は間違いなくハルキだなぁと思うし、そうでりながらその作家の特徴も出ていて、どれとして同じような感じにはなっていない。それでいて自由な感じがします。ちなみに装幀は竹久夢二の絵を使っています。イメージに合います。