ヨガ

ハタヨガの真髄_600の写真による実技事典

ハタヨガの真髄_600の写真による実技事典

 本書はヨガの型について写真を多用しながら解説しているヨガ辞典のような本です。ヨガの世界ではバイブルとして高い評価を得ているということです。
 筆者のアイアンガー氏は、それまでグル(師)からの直接指導による口伝えのヨガを、言語化し普遍化した第一人者です。ただ、ヨガが普及することでヨガを健康法や体操や難しい姿態を見せる見世物のように考える人がいることを嘆いています。
 そういうわけで本書の目的は正しいヨガとは何かを伝えることであり、ヨガの精神についてかなりの紙幅が割かれています。アサナ(型)はあくまで手段であり、目的は人格の向上、内なる神への目覚めです。このように書くと宗教のようですが、特定の神を信じる宗教ではなく、スピリチュアル体験と言った方が近いと思います。人間が本来的に持っている力に目覚めていくということです。その過程で様々な体の不調や病が回復していくのですが、それは自己治癒なのです。
 アサナについての詳しい説明の後には、プラーナーヤーマ(呼吸法)について取りあげています。この呼吸も目的は内なる神に目覚めていくことです。
 アサナにしてもプラーナーヤーマにしてもかなりの訓練を必要とし一生をかけて追及していくものと言えるでしょう。
 本書の監訳は沖正弘氏です。沖ヨガとして有名な人です。世界ではヨガと言えばアイアンガーヨガか沖ヨガを指すそうです。日本ではまだまだヨガといえば健康体操くらいにしか思われていないと思います。