異論なし。

スポーツのできる子どもは勉強もできる (幻冬舎新書)

スポーツのできる子どもは勉強もできる (幻冬舎新書)

 書いてある内容は、題名の通りです。さまざまなデータを使ってスポーツと学習に関連性があることを実証しています。分かっている人はとうに分かっているお話ですが、日本の社会制度はそうなっていませんし、むしろ逆行しています。本文に何度も出てきますが、アメリカでは金メダリストが医者や弁護士になって活躍している(ハーバード大からは歴代200人ほどのオリンピック選手を出しているそうです)が、日本ではスポーツはスポーツ、勉強は勉強と分けられてしまっている、というのは、確かにその通りだと思わされます。
 本書は東大の深代千之教授のお話を、スポーツジャーナリストの長田渚左氏が聞くという形式になっています。そのため大変わかりやすいのですが、内容はそんなに深くまで説明されているわけではありません。話題も一つ一つは面白いですが、それぞれが深められてはいません。「新書」とは本当に形だけのことになってしまったと思いました。それはそれとして、気軽に読む本としてはいい本です。こういう方向に日本が動いていけば、大きく変わるでしょう。深代教授の言うように、東大の入試に「体育」を入れるなんていうのは面白いと思います。