都市という現象
- 作者: 多木浩二
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1994/12/20
- メディア: 新書
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均質化、同質化の話は本書の中心的なテーマで、第二章で近代都市の発生(ネーション・ステートとしての都市)の歴史を振り返りながら、現在の都市はそれを超越して、次の段階、均質化へと入っているという話が第三章で語られます。
筆者は本書で繰り返し、悲観的な見方をしているわけではないとか絶望しているわけではないと書いていますが、かえって読んでいる方は絶望しそうになる内容ではあります。もちろん、自分が生きている時代はほんの切り取られた一部でしかありませんから、自分の体験に基づいた感覚など標準にしようもないのですが、どうも世界はつまらない方向に発展している気がして仕方ありません。本書の発行は1994年。約20年前です。世界の均質化は筆者の予見通り、ますます進んでいます。ネットワークシステムに属していないものなどもうほとんどないのではないでしょうか。あるいは見えなくさせられているのか。より貧弱なものを食べ、身につける世界化の流れには、近年アンチテーゼが広がりつつあります(スローフード・地産地消など)。しかしそれらはむしろ贅沢品と映ってしまうのが現代です。私はひそかに近年のマラソンブームなども単に健康志向・ダイエット志向というだけではないものを感じています。