思索の種

 パソコンの普及、インターネットの発達によって人間存在がどのように変容していくのか、そういうことを考えさせてくれる本でした。グーテンベルク活版印刷によって、写本時代が終わり、大量印刷時代が訪れ、著者の権威が発生した。印刷された本が衰退し、電子メディアに取って代わられようとしている今、著者の権威が衰退・消滅するのは当然であるという論の進め方は明快です。著者はデジタル化社会を肯定するでも否定するでもなく、この変化がもたらした影響について冷静に分析しています。すぐに読める小冊子ながら、考える種がいっぱいの本です。