純粋経験とは
- 作者: 西田幾多郎
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1979/10
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- 作者: 井筒俊彦
- 出版社/メーカー: 岩波書店
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カントは神について語ることを禁じてしまい、ニーチェはルサンチマンで神を説明してしまうし、ちょっとがっかりしていたのですが、西田幾多郎は神の存在はに近づく方法を述べました。また、誠実に生きようとすれば人間にとって宗教は必須のものであるという言葉には勇気づけられる思いでした。実際、『善の研究』の第四編第一章「宗教的要求」第二章「宗教の本質」第三章「神」第四章「神と世界」のあたりは、教会の説教なんかよりずっと説得力があり、特定の宗教の信者になるかどうかはともかく、宗教心が生まれることは間違いないと言えます。
また、自己の自転の考え方や、大なる統一のための分裂などの考え方は、発達心理学のエッセンスと言ってもよい内容で、人間というものの誕生から死、そしてその先までを見通す非常に長い射程を持つ思想だと思います。