KCSアップセミナーin倉敷 2011/1/22.23 倉敷労働会館

○健康とは
 姿勢分野から見る健康
〈姿勢が「よい」とは?〉
 姿勢が悪いと思っている人は多いが、それが何によって起こり、身体に何が起こっているのか、どうしたら治るのかを分かっている人は少ない。間違った知識が巷にあふれている。
〈生理彎曲〉
 バネ・スプリングのような働きをする。内臓を守り、身体の重さを支える(重力を分散させる)。直立二足歩行を行う人間は体重移動から歩行を始めるが、生理彎曲がない人は、スムースに体重移動できない。
 脊椎には神経系が走っているが、脊椎の間にある椎間孔(神経の通る穴)に5gの圧力がかかるだけで、能力が75%に低下する。
〈神経〉
自律神経(交感神経・副交感神経)内臓などを司る。
運動神経 筋肉を司る神経
感覚神経 痛みを感じる。
 感覚神経によって「痛み」が感じられるが、痛みにはだんだん慣れてくる。痛みが慣れると「しびれ」「だるさ」「おもさ」のような感覚異常状態になり、さらに進むと「まひ」状態となる。痛みは感じないが、治ったわけではない。
 自律神経失調症というのは、日本だけにしかない診断名で、その内実は「原因が分からないが、なんとなく不調な状態」を幅広く指す。
〈姿勢はなぜ悪くなるのか〉
 日頃の生活習慣による
 姿勢を作っているのは、骨:筋肉=1:9である。歪みは以下のようなプロセスで生まれてくる。
正常→筋肉バランスの崩れ→関節運動の低下→骨格の歪み→神経圧迫
運動療法の可否〉
 歪みのあるまま運動を行うのは、危険な場合もある。ヨガ・ピラティスなどは、よい姿勢をキープするために有効だが、姿勢がよくなる運動ではない。
〈痛む場所=悪い場所ではない〉
 全体のバランスによって痛みが出ているので、痛む場所をケアするだけでは治らない。たとえば、ヘルニアは椎間板が神経に触れて痛みを感じるのであって、切って治す必要はなく、脊椎の調整が必要なのである。
 関節の動く方向と距離は決まっているので、動きにくい場所、動きすぎる場所、動く方向の誤りなどは歪みから来ているのである。
〈専門医を選ぶのは患者〉
整骨院接骨院柔道整復師〕国家資格。骨折・捻挫・脱臼・打撲・挫傷の五つに関する専門家。肩こりは専門外である。
整形外科〔医師〕国家資格。基本的に切って治す手術が専門。
鍼灸鍼灸師〕国家資格。痛みを取るのが専門。麻酔のようなもの。
マッサージ〔マッサージ師〕国家資格。マッサージ店の経営者が資格を持っていても、アルバイトなどがしてはいけない。
整体 国家資格ではない。誰でも店を出せる。さまざまな事故が起こっている。患者にケガをさせたら、傷害罪となる。整体の学校もあるが、資格も基準もないため、間違ったことを教えていることもある。
 これらについて、患者が正しい知識を持っていないと、治るものも治らない。患者の側にも責任がある。
カイロプラクティック
 メディカル(医療)・鍼灸と並んで、世界三大医療のひとつ。
 日本に「カイロプラクティック」の看板を出している店は4万軒くらいあるが、日本では資格ではないので、きちんとした技術を身につけている店は400軒くらいである。
 WHOではカイロプラクティックの基準を定めており、4200時間の教育と1000時間の実習が必要としている。KCSのカイロプラクターはこの基準を満たしている。
〈チームによる治療〉
カイロプラクター 現在、海外の大学でしか資格が取れない。診断ができる。医師の資格を持っている。診断の上、他の科を紹介できる。
セラピスト 日本の大学で資格が取れるようになった。施術を行える。
カイロプラクティックアシスタント(CA) 患者とのコミュニケーション、姿勢科学の広報活動、生活習慣改善・予防医学の広報活動。
※一般に言われている「整体」「カイロプラクティック」は3〜5日の勉強で現場に出される。
〈KCSとは〉
 全国に約80店舗をフランチャイズ経営している。
 電子カルテにより、患者の情報を中央に集約している。各店舗では、バイタル・血液検査・骨密度検査・カイロプリントなどを行っている。カイロプリントの結果からオーダーメイドのエクササイズが患者に提供される。カイロプリントはカナダのバイオトニック社と契約している。日本ではKCSだけが契約している。このエクササイズはアメリカの産婦人科協会で出産直前まで認められている。また、栄養分析システムとして、オーダーメイドのサプリメントの提供も行っている。
フランチャイズ経営とは〉
オーナー(出資者)、カイロプラクター・セラピスト(技術者)・CAの三者が協力して経営する。
〈セラピストになるには〉
日本姿勢科学学会技術セミナーに参加する。4日間の合宿+2日間の試験を受ける(324,000円)。この段階では、まだセラピストではない。
 姿勢セラピスト養成学院に入学し(同時に創造学園大学姿勢科学コースの学生になれ、学生証も発行される。文部科学省公認)、さらに高度な技術を学ぶ。通信教育で行う方法もある。この後、セラピスト(プロ)になれる。
〈CAの仕事〉
 KCSのCAコース(月一回の講座を6ヶ月間。396,000円)
・姿勢チェック
・エクササイズ
・成功心理学
の三分野を学ぶ。
生活習慣病の予防〉
 良い状態をどのように維持していくか。
 「何かあったら病院へ」の誤り。他人任せの思想。病院巡りをするはめに陥る場合がある。
腕の良い医師を探す、膨大な時間と金をかけるという方向から、方向転換する必要がある。また、運動療法を頑張るのも、歪んだ体で行っても逆効果な場合がある。
 寝たきりになる場合、運動機能障害でなる場合が増えている。内臓疾患などがなくても、足が動かないため寝たきりになるなど。
〈方向性を誤らないために〉
・ 正しい知識 根本的な治療のために何が必要かの知識、病院の分野選択を誤らないための知識。
国民皆保険制度の功罪 安易に病院に行く習慣を持ってしまう。
たとえば、アメリカは医療費が高い。これは病院にかかるのはよっぽどのことだという了解があるから。たいがいは自分で何とかしなければならない。
〈健康とは〉
「健康なとき」とは、先天性のものがなければ、出生時である。これが、生活習慣や事故などで下がるが、一時的な低下は自力で回復するようにできている。自己回復の限界値を超えて下がった時に、はじめて「治療」が行われる。自己回復ラインより上は予防のカバー範囲であるが、予防は治療と平行して行われる。
 「治療=刺激」である。刺激は少ない方がよい。人間の身体は順応性が高く、刺激に慣れてしまう。刺激の量が適当かどうかは専門家が決める。適量を超えて刺激を与えると、身体は中毒を起こす。
 回復の過程は徐々に良くなっていくのが理想で、急激な回復、急激な悪化は最悪である。
 徐々に良くなるためには、はじめに細かく丁寧な治療を行い、だんだん治療を減らしていき、最終的にはヘルスケアで予防できるようにする。
〈環境と健康〉
 無菌状態で育つことが健康ではない。さまざまな菌に触れて免疫力が上がっていくことが必要である。
 歩行器の弊害 骨ができあがらないうちに歩行器を使うことで、足に正しい負荷がかからないため、骨の形成にとってマイナスとなる。
 コルセットの弊害 腰痛などでコルセットを常用すると、身体を支えるのに必要な筋肉が衰え、自力で動けなくなってしまう。
〈眠りと治療〉
 人間は寝ているときと、死んだときに筋肉がゆるむ。腰の曲がった老人も、死ぬときには腰が伸びる。無駄な力が抜けるからである。寝ているときは、ノンレム睡眠時に一番ゆるむ。脳からの信号がストップするからである。
 ベットは、「かたさ」「ひろさ」「かたち」が重要である。ウォーターベッドなどは、腰痛に大変悪い。横になっている時、腰には自重の44%の重力がかかる。ウォーターベッドのような沈むベッドでは、生理彎曲と逆の力がかかる。低反発ベッドなどは、生理彎曲がある人にはよいが、ない人にとっては、歪みの固定させることになる。腰痛のある人が使っても腰痛は治らない。
 人は寝ている時に「寝返り」を打つが、無意識のうちに自力で歪みの補正をしているのである。したがって、身体が沈む形のベッドは寝返りが打ちにくく、不適である。
 身体にまんべんなく牽引力がかかるようなベッドが最適。上からの圧力はドーム型が最も適している。それはトンネルがドーム型になっている理由である。ベッドの表面に小さなドームがいくつもあるベッドがよい。たとえば、椎間板ヘルニア(ヘルニアとは「とびだす」の意)は椎間板の間の水分が不足することが原因の一つであるが、寝ている間に牽引力が働けば、椎間板が引っ張られ、水分が戻る。すべり症(前方に脊椎がすべる)も、脊椎の牽引により、正しい位置に戻る。
〈KCSの活動〉
 セラピスト・CAになって、KCSの店舗と契約する。現在、姿勢美の教室を行っており、トレーナーを養成している。他にも、姿勢科学の基づく歩き方・座り方の教室を開催していく予定。
〈側弯症〉について
 人間は目線を平行に保つために細かい調整を常に行っている。骨盤が歪むと、目線の位置を平行にたもつために、背骨や首が歪むことで調整する。これは無意識の動きである。
 歪みは母の胎内で起こっていることもある。
〈胎内の歪みとは〉
 母体の骨盤が歪んでいると産道が歪み、胎児が出てこられない場合があり、近年は帝王切開が増えている。その歪みが胎児の歪みにつながる場合もある。
〈側弯症の矯正〉
外科手術 金属を入れて脊椎の歪みを矯正する。
 成長・神経伝達の阻害が起こる可能性がある。
コルセットによる固定
 筋力の低下を招く。
以上の方法はいずれも、歪みの場所だけを見て診断した結果の治療である。
姿勢調整による治療
 小3〜4くらいまでに発見・治療できれば、完治する。子どもは進行が早く、回復も早い。骨の変形が起こってしまうと完全に治すことはできない。
 歪みの起こっている場所だけでなく、身体全体のバランスを調整することで回復する。
 側弯症の痛みは子どもの頃は出ない。だんだん痛みが出てくる。しかし、「痛みの出る場所」=「治療の必要な場所」ではない。正しい知識を持った身近な人が気づいて適切な処置を行う必要がある。
〈子どもの姿勢〉
 疲れやすい子どもが増えている。よい姿勢とは疲れない姿勢のことである。体を動かさない習慣や環境など様々な要因が考えられる。
 背骨が曲がることで、どういう影響が出るかは人によって違う。アレルギー、ヘルニア、落ち着きのなさなど。
 小児カイロが流行ったが、素人のベビーマッサージなどは大変危険で、事故も起きている。KCSにおいても大変難易度の高い技術で、誰もができるわけではない。子どもに1回施術することは、大人に30回施術するのと同等の効果があるとされている。
〈詳しい解説〉
 さらに詳しい解説は『痛みは体のSOS』を参照のこと。

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