「るるく」8年のあゆみ

 「るるくめいと」は大阪府立松原高等学校のボランティアグループです。この本は、その8年間の活動と、その間の考えの深まりをまとめた小冊子です。「高校生エイズ・ピア・エデュケーション活動研究報告書」という副題がついています。
 この冊子で「当事者」について語られている部分が印象的でした。「予防医学という観点からHIV感染を防ぐために啓発教育を行う」というのは、どこから見ても文句のでない理念のようですが、その裏には「予防の失敗者としてのHIV感染者」という当事者排除の論理が働いているという。私自身にそういう見方がなかったので、なるほど当事者でないというのはそういうことだと納得しました。また、「不特定多数とのセックスは好ましくない」という表現にも、その「不特定多数」にはHIV感染者という少数者が含まれており、「不特定多数の人とセックスすると、その中にHIV感染者がいるかもしれないから危険だ」という、露骨な差別表現が隠されていることに気がつかないのです。こういうことは、どんな差別問題を取り扱う場合にも気をつけないといけない視点であり、たぶん日常生活でも、自分が正しいと思って発言する場合にはいつでも、なんでしょう。