必要な時

お父やんとオジさん

お父やんとオジさん

 伊集院静が何かに、「父親は学問のない人だったが、父の生き方そのものが強靱な思想なのではないか」というようなことを書いていたことを思い出しました。黙って自分で運命を背負い、やり遂げる意志。内容的に明るい作品ではないのに、清々しさが常に漂っているのは、さすがの伊集院節です。
 カン・サンジュンがやはり自分の両親のことを書き、在日一世二世の記憶について、その子孫が語り始めている。なぜ今なのか、否、今だから語れることがあるのだろう、むしろ、それだけの時間が必要だったということだろう。つかこうへいが亡くなったことにこと寄せて、カン・サンジュンがアエラか何かにそんなことを書いていた気がします。