近代日本の戦争と宗教

近代日本の戦争と宗教 (講談社選書メチエ)

近代日本の戦争と宗教 (講談社選書メチエ)

 題名から今の人は、当然太平洋戦争を思い起こすことと思われますが、戊辰戦争から始まり、台湾出兵西南戦争日清戦争日露戦争までで終わりです。
 もちろん、それから先のことも本文で触れながら話は進むのですが、近代の夜明けから語り起こすのは読んでみると、必然であることがわかります。各宗教界が幕藩体制の終焉から天皇中心の近代政府のなっていく中で、時代に取り残されまいと必死に活動する様子が描かれます。そこにあるのは、信仰というよりは、政治です。戦争と宗教というと靖国神社に象徴される国家神道がすぐに頭に浮かびますが、本書では、仏教・キリスト教など主要な宗教団体の帰趨について資料を多用しながら淡々と解説していきます。
 本書は史料としての価値は高いと思いますが、読み物としてはなかなかつらいので、読み進めるのは骨が折れます。