数の力

数の魔力――数秘術から量子論まで

数の魔力――数秘術から量子論まで

 「数」にまつわる様々な事柄が9つの章に書かれています。数式や計算も出てきますが、著者も読み飛ばしてよいと言っていますので、読み飛ばしました。著者は数学を世に広める運動をしている人で、数学が数学者だけの閉じられた世界の道具ではなく、文化史に係わりのあるものなのだということを紹介しています。数と音楽の関係などはとても面白かったです。十二平均律の算出方法は昔習った記憶がありますが、相変わらず難しい(笑)。政治家が討論会などでいかに効果的に数を使うかという話は、有権者は必読の部分です。統計学のごまかしの方法について詳しく論じています。統計学が怪しいのではなく、統計学を使って、自分の主張に都合の良い数字をどのように算出するのかを説明しているのです。2進法の発明とコンピューターの関係なども興味深いし、3進法というのがあり、2進法よりもずっと優れているという話も面白かったです。10進法もない時代に複雑なギリシャ文字古代ギリシャ人が高度な数学を操っていたことや、古代バビロニア人が直角三角形の各辺の比を正しく知っていたことなど、驚くような話でいっぱいです。計算が苦手で数学は敬遠していましたが、これは面白い本です。数学をやり直したくなります。