日本人と宗教。

神とゴッドはどう違うか (新潮選書)

神とゴッドはどう違うか (新潮選書)

 Godを「かみ」と訳してしまったのは間違いだった。日本人にとって神とは、目に見えない力をもった何か畏れ、かしこむべきものだった、という解釈はその通りだと思います。また、その神概念と、聖書のGodの概念は重なっている部分もあるので、よけい話をややこしくしています。
 筆者は一貫して日本には絶対者(永遠者)のいない文化であり、キリスト教圏ではそれがある文化だということを強調し、様々な角度から検証していきます。もともと経済学の方面の人なので、そういった文化の違いが様々な摩擦をおこして、グローバル化の時代にあって日本人に不利に働いていると考えています。
 後半に出てくる日本の宗教、「天風会」のことは全く知らなかったので面白かったです。ほとんど聖書の世界観をそのまま移植したような宗教というか、思想集会が特に経営者などに信仰されているそうです。
 日本の教会がどうして伝道に今ひとつ成功していないか、クリスチャンが日本人の1%ほどしかいないのか、先述した文化の違いの他に、日本の教会のあり方へもかなり厳しい批判を加えています。
 現代においては、聖書をこれから読む人はこういう本を読んで冷静な目をもってから臨んでもいいのかもしれません。