松林図

 土曜日に京都国立博物館に「長谷川等伯展」を観に行きました。安土桃山時代に活躍した絵師で、狩野派と張り合うほどの実力者だったそうです。歴史資料集などでお馴染みの絵が並んでいましたが、やっぱり実物はいいです。まず、大きさがよくわかります。また、細かいタッチや奥行きは写真では再現できません。豊臣秀吉の時代にふさわしい、金色の障壁画もたくさんありましたし、それが等伯全盛期の作品なのでしょうが、現代人にはちょっとギラギラしすぎる気がします。松林図も障壁画の下絵らしいのですが、墨の濃淡で描かれた松林図はこれで完成でいいじゃないかと思ってしまいます。
 この時代は注文に応じて作品を作っているから、画題にオリジナリティはない。しかしそれだけにタッチや構成などの細かいところに個性が出てくるのだろう。また、西洋でもそうだけれど、大きな絵は普通工房で作られ、個人の作品ではないのだろう。それでも個性が滲み出てくるのだから、本物は違う。クラシックなものは音楽でも絵画でもそういう面があるのだろう。