一万円になるだけはある

福翁自伝

福翁自伝

 福沢諭吉が生涯を振り返って書いた自伝。この本は平易な言葉にしてあるので、子どもでも読めます。解説を脳学者の茂木健一郎が書いています。茂木氏も言っていますが、早期教育の弊害、日本人が見直すべきものが書かれていると思います。しかし時代の状況が違うので、福沢のように勉強するのは福沢の時代よりも難しいと思います。日本は豊かになりすぎました。そしてあまりにも早く人生が決まってしまうように思い込まされます。福沢が自分の子どもを学校に入れたら精神的にしんどくなったので休学させ、しかたなしに慶應義塾に入れて大学はアメリカへやってしまったというようなことが書いてありましたが、その時代からすでに日本の学校は今と大して変わらずに人の精神を苦しくさせるような雰囲気を持っていたということでしょう。子どもの頃には「獣身を養う」というのには大賛成です。今の子どもたちに最も与えられていないものです。