たぶん、
クラシック音楽で今、一番売れているCDに違いない(笑)。「ほとんど知らない」と「全くしらない」の間という
ヤナーチェクの
シンフォニエッタと小説の冒頭に描かれるこの曲を、僕も知りませんでした。さっそく
タワーレコードに言って探しました。ところが
ヤナーチェクの綴りが分からない。
タワーレコードはアルファベット順で棚が作られているので、頭文字が分からないと探すのに膨大な時間がかかる。YかEだろうなと思って探すけれどない。店員に「
ヤナーチェクの棚はどこですか?」と尋ねると「その単語はここ一週間に百万回は聞いた」という迷いのない足取りで案内してくれた。あった。
ヤナーチェク、「J」だ。ハレルヤの「ヤ」
イエス・キリストの「エ」だ。なるほど。
チェコの作曲家だそうです。よく見ると、棚の上に「『
1Q84』で今話題の」と宣伝がしてあると、店の入口にも試聴版が置いてある。店員にわざわざ尋ねるまでもなかった。
シンフォニエッタはたくさんあったけれど、この
ジョージ・セル指揮、
クリーブランド管弦楽団のものが青豆が聞いた音楽で、レコードだということですから迷わずこれを買いました。家に帰って聞くと、思っていたのとは全然違い、ファンファーレのような軽快で元気な曲。じゃ、どんな曲を想定していたのかと言われると、分からない。何かの大会のファンファーレのために作曲された曲だということです。小説の冒頭を飾るにはふさわしいかもしれませんが、
村上春樹の小説の幕開けにふさわしいかと言われるとどうだろう。しかし青豆の物語が小説的世界に迷い込むところから始まっているのですから、そういう意味では非日常的な「劇的」空間に入りますよ、という宣言としてふさわしいかもしれない。
ミーハーついでに、
辻井伸行のピアノ、
佐渡裕の指揮の
ラフマニノフのピアノ協奏曲2番を買う。徐々に力強く、遠くから響いてくるような冒頭のピアノ、重厚な、ねっとりした
佐渡の指揮。ピアノの早いパッセージはころころと何か転がっていくような軽快感が感じられます。一音も適当には弾きませんという意志が感じられます。