革命家

 アートギャラリーフジハラで「チェ・ゲバラ写真展」がやっていることを今朝の新聞で知って、早速行ってきました。行きがけに大阪城公園で知人が陸上の練習をしているのに出会い、「高橋尚子に会った」と聞き、驚きました。そういえば、明日は大阪国際女子マラソンでした。僕は今年は同時開催のハーフマラソンに出ないのでちょっと忘れていました。知人と別れて自転車で走っていると、高橋尚子さんを僕も目撃しました。女性と一緒に二人でお話しながらふつうにジョギングしていました。「声がテレビと同じだ」と当たり前のことに感動しながら、アートギャラリーフジハラへ。アートギャラリーフジハラは天神橋筋商店街の入口近くにあります。建物自体レトロな雰囲気で、音楽や美術のイベントがよく開かれているようです。
 地下のスペースにさほど多くないゲバラの写真が飾られ、ゲバラグッズも売っています。階段を降りて入場料500円を払います。混み合うというほどでないにしても、肩がちょっと触れるくらいには人がいます。若い女性一人というのもあり、カップルで来ているのもあり、もっと年齢層の高いことを予想していたのですが、意外に同年代やもっと若い人も多いのです。ちょうど映画が公開されていることもあるのでしょうが、こんな小さな写真展に足を運ぶというのは、ゲバラ人気はあなどりがたいものがあります。
 ゲバラの写真はどれも魅力的で、また白黒写真というのがいいんですね。それにしてもゲバラの笑顔はチャーミングです。男でもそう思うのですから、女性は尚更でしょうか。きりっと引き締まった時の顔は知的で強固な意志を感じさせるのに、リラックスして笑っている時の少年のような顔は、ほとんどかわいいと言ってもいいくらいです。しかもそれが年齢を重ねた時の顔の方がいいんですねえ。
 僕も含めて、キューバ革命に特別な知識や関心を持って来ている人は少なそうに思えました。チェ・ゲバラという人間に惹かれてしまったのだろう人たちが熱心に写真を眺めていました。なぜ、今ゲバラなんだろう。行きがけに見た高橋尚子さんが走っているのを、周りのジョガー達は関心を持って見ていました。高橋さんも偉大な人です。今の時代は、国家とか革命とかを口にして熱くなる雰囲気にない。少なくとも日本はない。でもそれだけ個人に焦点が当たっているのかもしれません。大企業の雇用や大銀行の預金や、株式、年金、医療、食品、ガソリンなど、大きな容れ物や流通などの信用度はがた落ちで、こういう時に自分はどう生きるのか、人間が生きるとはどういうことか、模索し始めているように思います。チェ・ゲバラは一つのモデルなんでしょう。いや、むしろイコンのようなものでしょうか。