知の孤児
前日は10時前に寝て、朝は9時近くまで寝ていたので、睡眠は十分すぎるほど十分なのに、夕方にまた寝てしまうという、一日の大半を寝て暮らすような日があるものです。今日は昼にジョギングしたのと、夕食を妻と外食したのを除けば、部屋から出ずに本ばかり読んでいました。
人から勧められて、あるいはやむをえずして、興味のあまりなかった分野の本、興味どころか自分の中に引き出しすらついていない本を読むことがあります。読み始めるまではおっくうなこともありますが、大抵は自分に有用なので、積極的に読むことにしています。
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これを読みながら、自分の知識は中世・近世がスコっと抜けているなあと改めて思わされます。知識もさることながら、感覚が抜け落ちています。『源氏物語』なんかは『枕草子』『伊勢物語』『古今和歌集』など、同じような世界観を持った、つまり平安貴族社会の通念や社会常識をもった作品をある程度読み込んでいるから、まあわかります。しかし中世から近世の連歌や俳諧、能、狂言、謡曲、歌舞伎、戯作文学などはほとんどお手上げです。読んだこともない作品が多いし、そこに出てくる言葉の意味(辞書的な意味というより、語感)も分からないし、舞台芸術に関してはほとんど見たことがないし、感動するところまではいきません。
感動する云々というと、これは平安時代でも同じで、雅楽に感動するかと言われると、まあ感動しない、というかほとんど聞いたことがない。ところが西洋のクラシック音楽にはとても感動するし、NHK−FMで、「邦楽の時間」は全く聞かないが、「ベストオブクラシック」は聞く。漢文は好きで結構読んだけれど、漢詩を自分で作る文化はない。押韻は分かるけれど、平仄を説明しろと言われたら降参である。江戸時代からそのまま接続して明治時代に生活していた漱石や鴎外なんかは俳句、和歌、漢詩を自分で作り、歌舞伎、狂言を楽しむ。その上で、西洋文化を吸収していく。ところがいつのまにか、その江戸以前の文化は消え去って、西洋文化ばかりを吸収していくようになる。
そしてこの21世紀に34歳を迎える僕のような、文化的孤児のような中途半端な人間ができあげるのでしょう。この状態にときどき僕は非常にやりきれないものを感じます。