からだ感覚の復権。

「からだ」と「ことば」のレッスン (講談社現代新書)

「からだ」と「ことば」のレッスン (講談社現代新書)

『ことばが劈かれるとき』を読んだ時から、実践的な話だと面白く感じましたが、この本は実際に行われたレッスンの手順や、参加者のコメントなども載せてあって、より臨場感を味わえました。心身二元論の誤りはすでに様々なところで指摘されているにも関わらず、学校を始めとする教育のシステムは心身二元論に基づいて、精神優位・頭脳優位の考え方を強化しつづけています。心とお金に余裕のある大人が、まさに余裕があるという優越感を感じながらからだに気を遣うようなものに飛びついたりするか、あるいはのっぴきならないところまで追い込まれた人が精神優位の社会から逃げ出したり、どこにも行き場がなくてガチガチのからだとこころのままにかたまったまま学校や職場で死んだように過ごしていたり、いずれにしてもいまだに一般常識ではなく、特殊な考えの位置にあるのだと思います。
 竹内氏のレッスンにある話しかけのレッスンや、緊張と身構えをほぐすレッスンなど、実際にやってみるとその面白さと効果がはっきりわかります。本を読んだだけですから、きちんとできてはいないかもしれませんが、目指すところはよく理解できますし、からだのこわばりがいかに人のこころと結びついているかがわかります。竹内氏のレッスンはその先に行き、自分で自分の姿に気づき、新しい自分が「劈かれて」いくわけです。
 こういうレッスンが各学校などに取り入れられていけば、社会のしんどさはかなり軽減されると思います。