チェルノブイリ原発事故について現地で詳細な取材をした
広河隆一氏の著書です。『DAYS JAPAN』の編集長でもあります。
ソ連で
原発事故が起こった時、政府が
原発の事実を隠そうとしたり被害を小さいものであるかのように宣言したりする様子は、今の
福島原発と重なってきます。しかしそれよりも恐ろしいのは、
原発の事故の影響が日本で報道されているような楽観的なものではないという事実です。食べ物のことや、飲み物のこと、小児の
甲状腺がんなどはこれから起きてくるであろう問題です。
ソ連で行われていたような、汚染肉の偽装流通などもあるかもしれません。問題は知らずに起きていることではなく、知っているのに国民に知らせない、対策を取らない人たちです。小学校の校庭で許容されるとされている
放射線量が、現在も
チェルノブイリ周辺で立ち入り禁止になっている場所の
放射線量の4倍にもあたるという数字に愕然とします。広河氏の言うとおり、日本は
チェルノブイリから何も学んだことはないのです。また、
IAEAやWHOなどの国際組織が
原発にまつわる金と権力に屈してしまっているという状況です。いったい何のための科学技術なのでしょうか。地球を取り返しのつかない死の星に変え、他に求める繁栄があるのでしょうか。