イノベーターの条件

 「はじめて読むドラッカー」シリーズの第三作【社会編】です。前二作に比べると、歴史分析・社会分析の面が強い本です。経済人(エコノミックアニマル)としての人類は終焉を迎え、これからは知識中心の社会になるというのがドラッカーの主張です。
 知識は誰にでも手に入れることができるものなので、競争は激化し、その知識は日々更新されなくてはならない。したがって、高学歴の者ほど、大学などに戻り、知識を更新する時代が来る。今までのように、学校教育が終わればその知識や技能が一生使えるという時代ではなく、卒業後5年もすれば陳腐化してしまい、新たな知識を得るために誰もが努力しなければならない。
 ドラッカーは学校こそもっとも変化しなければならない組織であるとしている。そして既存の学校と新たな教育機関が競争にさらされるとしている。この流れはすでに起こっている流れであり、ドラッカーの見通しは正しかったというべきでしょう。 アニメ『もしドラ』も終了しましたが、これからドラッカーを読む人はますます増えそうです。ただ、ドラッカーの著書は一般的に書かれているので、個別具体的に応用していくには自分で考えないといけません。そういう意味ではマニュアルを求めてドラッカーの著書を読んでも理解できないでしょう。『もしドラ』はドラッカー理論を主人公の「みなみ」が高校野球に応用していくその思考過程に面白さと実践性があります。