救いはどこにあるのか。

禅とはなにか (講談社学術文庫)

禅とはなにか (講談社学術文庫)

 筆者の鎌田茂雄氏は、敗戦で価値観がすべて崩壊した後、自分を見つめ直して禅にたどりついた人です。駒澤大学を出て、専門は中国仏教史、華厳学です。筆者の個人的体験が語られているところがざっくばらんな口調で書かれていて読みやすく、説得力があります。インド仏教と中国仏教と日本の仏教、そして禅の違いを説明しているくだりもざっくりと平易に書いてあってわかりやすいです。西田幾多郎の著書に心酔して勉学に励んでいた青年時代の読書体験など、自分ももっと勉強せねばと思わせられます。とりあえず、『菜根譚』『参禅入門』を読もうと思います。一冊本を読むと、こうして読みたい本が数冊現れてくるのは、ありがたいようでもあり、苦しいようでもあり……。