「ことば」への視線

読むと書く―井筒俊彦エッセイ集

読むと書く―井筒俊彦エッセイ集

 東洋思想に詳しい井筒俊彦のエッセイ集です。様々な場面で発表した文や、講演などについて集められています。第二章「言葉とコトバ」が面白いです。それにしても、日本人でありながら自分は何と東洋について無知であることか。思えば学校でもその後の人生においてもあえて学ぼうとしないかぎり、知識も思考法もほとんど西洋的なものしか入って来ません。最近こそ、様々な分野で東洋的なるものが見直されていますが、外国人がそれに接するのとほとんど変わらなく受容する態度です。それも日本や中国止まりの気がします。井筒氏の論考はインドやイスラムの思想を網羅し、それらがたとえば、真言密教などと密接な関わりがあることを証明していきます。読んでいると新しい目が開かれるようでとても楽しい本です。