グローバル化か

 4人の著者が教育改革と世界の関係、教育行政の問題、評価の問題、初等・中等教育について語っている。全体的には題名にもある通り、国際化の流れの中で、教育に求められるものが変化してきた、その変化に現場はついていけているか?どこをどう変えなければならないかを俯瞰的に述べている。私が読んでみておもしろかったのは評価の話と初等中等教育のところだ。評価は大学の評価が主に語られているが、評価の目的や義務化(法整備)の話を具体的に書いていて面白い。いずれ初等中等教育にもその流れは広がっていくだろうが、うまくいくか不透明である。初等中等教育の話では、この前に読んだ『日本語が亡びるとき』でも語られていた、英語と日本語の関係が語られていて面白かった。日本語は辺境の地域語でしかない、という自覚は持つべきだと思う。地域語であるという自覚は日本語の軽視にはつながらない。むしろ、日本語を母語とする人たちは日本語をもっとちゃんと勉強してそれを英語で説明できるようにならないといけない。そういう時代なんだろう。それから、「ルールが変わった」という語はいろいろなところで聞くが、教育に関しては知識偏重から、応用力へと変化したという意味だと本書では解釈している。単なる「学力低下」ではなく、「学力」をはかるものさし(ルール)が変わったのであると。この意見には一応賛意を表しつつ、そう目先のルール変更にあたふたするよりも、やはり学問は普遍的な部分があるから、その部分は堅持した方がよい。学校教育の目的は時代の要請で変化するだろうが、学問の目的は普遍だからである。つまり何かを学び続けることそのものが目的なのだから。学校はこれから変革の流れに翻弄し続けるだろう。その中で安易に過去の教育目的や理念、道徳を持ち出す人もいるだろうが、むしろ不易流行を見極めて、普遍的な部分を継承することが迂遠なようで最も近道だと思う。