おくりびと

 納棺師を主人公した映画です。観る前から面白そうだなあと思っていたのですが、予想以上に面白かったし、感動しました。実話を基にして描いた作品ということで、迫力がありましたね。現代の日本人は死に触れる機会がまずほとんどありません。そのためか死をないものとして扱っている節があります。有限でいつか必ず死ぬ人間、そういう感覚を忘れて生きています。そのことと宗教観念の薄さとは相関性があると思うのですが、それだけに死は不可解で触れたくないものとして私たちに感じられているようです。そこで死を扱う人たちへの忌避が生まれるのでしょう。古代から死を扱う人たちは忌避されていましたが、現代のそれはもっと強烈です。その辺が変に説教臭く、あるいは悲劇的に描かれているのではなく、そのままに描かれているので、かえって現実感がありました。