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 光文社の古典新訳シリーズはなかなか興味深いものがあります。これは以前、『子鹿物語』として親しまれてきた本です。しかし僕はいわゆる名作を子どもの頃にちゃんと読んでいないので、というのはほとんど本を読まない少年だった、今になって名作を平易な現代訳で読めるのはうれしいです。解説にも書いてありますが、「子鹿物語」というタイトルからは想像もつかない、かなり野性的な内容です。実際、子鹿が出てくるのは後半もかなり進んでからです。少年ジョディの成長を描いた物語です。何かを失わないと大人にはなれない、しかもその失ったものは二度と戻らない、「もの」というより、感情がもう二度と経験できないと言う方が正しいでしょう。
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 2007年本屋大賞の7位だった本だそうです。これは久々に引き込まれるように読みました。町が失われる、突如、そこにいる人々が「消滅」する。そういう設定なのですが、安直なSFでも謎解きでもなくて、そのことに関わる人間に焦点を当てているのが魅力だと思います。設定は設定であって、たまたまそうなんですというのがいいです。推測ですが、作者は「差別」ということに精通しているか、自身が被差別体験をしたか、そういう人なんだろうなと思わせられます。