江戸のエタ頭として数代に渡って浅草周辺を取り仕切った
弾左衛門についての研究書。文庫版ながら内容は充実しています。権力者と賤民支配との関係や、ケガレとキヨメの関係などとても分かりやすく、現代まで続く
差別意識の源流をも意識させます。歌舞伎のような芸能と賤民との関係なども新しい知見も交えながら丁寧に解説していきます。当時の資料を駆使した説明には、現代の差別・被差別の側からの「告発」的な
イデオロギーがあまり感じられず、かえって読みやすく分かりやすいです。この方が、誤解に基づいた偏見に読者が自然と気がつくと思われます。