教養の深さ

常識人の作法

常識人の作法

 ちょっと目次を並べてみる。「常識とはなにか」「科学と感性」「演劇化する現代」「半端なエリート」「『つきあい』のゆくえ」「雑学考」「漢字をどうする」「ことばの作法」「トーテミズムの現在」と、多岐に渡ります。著者は70歳ですが、話題は今の身近なことがらなので、誰でも楽しく読めます。「楽しく」と書きましたが、現代人には耳の痛い話が多いかもしれません。軽い口調でしゃべっているように書いているのですが、その裏にある知識量や体験量は半端ではありません。難しいことを簡単に語るのは難しいものです。また、これほどの高齢でありながら、現代へのアンテナの高さ、鋭さには驚きます。こういう先達がいらっしゃることは、まだまだ私たちにも指標があるということでしょう。