欧米の理論

聖書の論理が世界を動かす (新潮選書)

聖書の論理が世界を動かす (新潮選書)

 日本人が欧米、特にアメリカを理解するために聖書の世界観を知らなければならないということを分かりやすく説明した本です。
 最後に提案されている、宗教的真理の部分を抜いた、形而上学的理論としての宗教教育を学校で行うべきだという考えには大いに賛成です。宗教を勉強したら、それは信仰を強要されるのではないかという恐れは、著者の指摘するとおり、日本人には顕著に認められると思います。日本には本来極めて形而上学的な学問である仏教があるはずですが、これも著者の指摘する通り、「仏像を拝む」という一点に集約してしまっています。「念仏を唱える」もありますが、これもその意味や理論を考えるではなく、唱えることそのものが目的になってしまっています。そういう信仰の姿はそれでいいとして、キリスト教や仏教、イスラム教などの形而上学的な到達点を人類の叡智の結晶として共有することはとても意味のあることだと思います。そういった根本的な学習をしていないために、宗教は何となくあやしいとか、あぶないといった情緒的な面が生まれてしまうのだと思います。