マルクス

賃労働と資本 (岩波文庫)

賃労働と資本 (岩波文庫)

 労働者は労働を商品として資本家に売っている。その商品は小麦や衣類と等価で取り引きされる、生存に必要なものを購買するためのものだ。しかし、労働は資本を増大させる。したがって資本家は労働を買い取った価格(賃金)よりも、多くの見返りを手にする。その増大した資本がすべて賃金として労働者に還元されるわけではなく、余剰資本によって、機械が導入されたり、新たな労働者が雇われたりする。機械の導入により、同一時間で生産される生産物の量が増える。資本家は他の資本家よりも販路を広く確保するため、資本家同士に競争が生じ、商品を安く売る。したがって、商品一つの価値は下落する。すると、以前よりも儲けを出すためには、数を多く売らなければならない。商品の価値が下落するということは、労働者の労働の価値も下落している。また機械の導入により、労働は単純化・分業化し、労働者の質は問われなくなる。つまり熟練工は必要なくなる。さらに、労働者の数そのものが必要なくなる場合があり、労働者間に競争が生じ、労働者の賃金が下落する。この傾向が際限なく進むと、大資本家が最新の機械を導入して最大の販路を獲得し、安価で大量の商品を市場にばらまくことになり、小資本家は労働者階級に没落する。元の労働者階級はこの、没落資本家とも競争を強いられる。そして恐慌が生まれ、需要と供給のバランスが取れるまで安定しない。
 とりあえず、読んで理解できたことは以上です。マルクスが言っていることは現在でも相変わらず有効のようです。それは社会主義政権が正しいという結論には簡単には結びつかないのですが、その辺が僕の勉強不足で、マルクスからレーニンが生まれる理由をちゃんと勉強しないといけませんね。