関西版も作ったら面白そう。

女子校育ち (ちくまプリマー新書)

女子校育ち (ちくまプリマー新書)

 7年もかけて取材したと書いてあるだけあって、情報量の多さと本当らしさはなかなかのものだと思います。実名で東京近郊の女子校が出てくるので、書きすぎでは?と心配したくなるくらいです。関西版も出ると面白いのにと思いました。

終わりがあっけない。

マルカの長い旅

マルカの長い旅

 ユダヤ人狩りを逃れてポーランドから逃亡する母、姉、妹の家族のお話しです。7歳の妹が途中で病気になって置き去りにされてしまい、最後に再会します。
 姉と母の確執に焦点を当てたいのか、母の省察に焦点を当てたいのか、題名通り、マルカの一人旅をテーマにしたいのか、どれも面白そうでそれぞれ独立したお話しにできそうです。扱おうとする事柄が多すぎて、残念ながら作品としてはまとまりと深さを欠くと思います。ドイツ人の描き方も、これはわざとそうなのかもしれませんが、抽象的で、作中人物が思っているほど恐怖感が伝わりません。平和な時代に生まれたためか、想像力が欠如しているためでしょうか。「あとがき」でマルカが実在の人物であることや、母親が結局家族として一緒に暮らすことはなかったことが明かされますが、母親のことはもっと掘り下げてほしかったです。幕切れが悲しい上にわかりにくいです。感動の再会をしてハッピーエンドがいいという意味ではなくて。